こんにちは。ボードゲーム好き夫婦のぺーさんとあすなんです。
2021年秋ボードゲームマーケットも終わったということで、みなさん新作を遊んでいる頃かと思いますが、
今回は、買い逃してしまった新作にして名作確定な、タイガーアンドドラゴンの魅力を伝える記事を書いていこうと思います。
このゲーム、12月上旬ごろ発売予定で、ゲムマでは先行販売だったのですが、なんと開始11分で売り切れてしまったという注目作品。
ボードゲーマーなら遊んだことがあるごいたのリメイク作品として、みなさんも一般販売を楽しみにしているところなのではないでしょうか。
そんな話題作なら、わざわざブログに書くこともないかと思っていたのですが、ところがそうは言っていられない状況になってしまいました。
無事購入できた猛者に遊ばせていただいたのですが、これは「ごいたが2~5人で遊べるようになったリメイク」って次元で語っていいゲームじゃないんですよ。
遊ぶ前から面白いのは分かっていたのですが、正直日本史上最高といっても過言ではなく、なんなら2022年ドイツゲーム大賞はこれで決まりだろというくらいの面白さにして、流行る要素しかないゲームだったのです。
遊んだ直後から熱の冷めやらぬぺーさんにつられて遊んだあすなんとしても、日本史上最高というところに大賛成しかありません。
勢いでそのまま36分のポッドキャストに突入したくらい、我が家で語りあかしている作品なのですが、
その二人での研究成果も踏まえて、この作品の魅力をしっかり伝えていければと思っています。
タイガーアンドドラゴンってどんなボードゲーム?
ゲーム概要
プレイ人数:2~5人
インストにかかる時間:3分
プレイ時間:20分
・殴り合い
・ドメモ的な数字推理の心理戦・緊張感
・トリテ的な「はい、これ持ってないでしょー知ってるんですよー」ムーブの快感
(※本作品はトリテではありません)
・10点先取バトルロワイヤル
詳細なルールは公式サイト(ArclightGames Official)にお譲りするとして、
要するに、
1から8の牌を使って殴り合うゲームです・・・というのはあまりに雑すぎる説明なので補足すると、
ドメモのような8が8枚、7が7枚…という構成で存在する牌が
攻め手が出した牌と同じものを持っていたらその牌を場に出して自分が攻めに転じる。
出せなかったらもう一度攻め手のターン。
自分の牌を出し切った人が上がりで、
最後に出せた牌が何だったかで点数が変わってきます。
10点先に取った人の勝ちです。
偶数が青、奇数が赤、最強切り札タイガー(青)&ドラゴン(赤)とかが物凄く戦略性を上げているのですが、詳細は上記公式サイトにてご確認ください。
本記事ではルールではなく、何が面白いのかについて語っていきたいと思います。
ここが楽しい
・殴り合い
これはカンフーの達人同士の闘いというフレーバーのとおりなのですが、一手一手が真剣勝負。序盤は高得点な数字を枯らしにいくべくジャブを打つのか、最初からレアな数字で攻め込むのか。隙を見せたら一発ノックアウトされてしまうスリルも楽しみの一つです。
・トリテ的な快感
トラックを取るゲームではないので分類としてトリテとは言わないのですが、自分が多く持っている数字で連続攻撃して「はいこの数字持ってないんでしょー。出せませんよねー。」ムーブをする快感はトリテに共通するものがあると思います。
ドメモ的な数の推理・心理戦な面白さと、バトルロワイヤルな楽しさについては記事の後半にて語ります。
こんなシーンにおすすめ
・部活やサークルのあとに
・友達とお酒を飲みながら
・夕食のあとの家族の団欒に
・ボードゲーム会でゲームとゲームの間の卓調整(30分)に
・ボードゲーム会で一日中遊ぶ
なんといってもインストが3分程度で完結するというシンプルさな上に、何度でも遊べるリプレイ性があるので、大変重宝します。いつでもどこでもダラダラと遊びたくなる楽しさがあります。
なぜドイツゲーム大賞を狙えると思うのか
さて、タイガー&ドラゴンが面白いゲームであるという主張はお分かりいただいたと思うので、ここから先は、日本の作品がまだ一度も受賞したことのない(※)ドイツゲーム大賞を狙えると豪語する理由を語っていきたいと思います。
※2015年に街コロがノミネート
そもそもドイツゲーム大賞ってどんなゲームが受賞するの?
ドイツゲーム大賞とはなんぞやというのは、ボードゲーマー相手に語るまでもない話であると思うので、ぺーさんが長年愛読しているサイト(Spiel des Jahres - ドイツゲーム大賞)にお譲りするとして、
・ボードゲーム大国ドイツで毎年1つ選ばれる名誉ある賞
・ドイツのご家庭で遊ぶことを想定したファミリーゲーム
・近年だとワード系協力ゲームのジャスト・ワン、見た目が綺麗なタイル配置系のアズール、古くはカタン、カルカソンヌ、マンハッタンといった、いわゆる定番名作ゲームが受賞している
といった感じです。
95年大賞受賞作品カタンとの比較で語る
みなさん大好きカタン。
思い出してみてください。このゲームがどのように遊ばれていたか。
大学時代、鍋を囲んだ後に、4人いればカタンが始まったわけです。
そのうち1人がカタンのことを知らなくたって、「まあいいからいいから」とインストをして参加させていましたよね。そして、1回遊んだその人は、「え、もう一回やってもいい?」とボードゲームの沼にハマっていったわけです。
こうやってボードゲーム人口というのは増えていったんだと思います。あすなんがまさにその口です。
カタンの魅力などを、たかが100回程度しかカタンを遊んでいない私が語るのはおこがましいのですが、カタンは1000回とか3000回遊べるポテンシャルがある名作ですよね。それゆえに、とにかくずっと、ダラダラとカタンを遊び続ける、という光景が発生したわけです。
タイガーアンドドラゴンは、1000回遊べるゲームという謳い文句ですが、まさに遊ばれる光景としてはこのカタンと同じシーンが思い浮かびます。
というよりも、かつてカタンを1000回やっていたであろうコアなゲーマーの皆さんは、近年ではより重たいゲームの方にシフトしてしまって、
昔ほどカタンはゲーマーの間で遊ばれていないという背景を踏まえると、
かつてのカタンポジションはタイガーアンドドラゴンが持って行ってしまうのではないかという危惧すらあるレベル。これは恐ろしい子ですね。
94年大賞受賞作品マンハッタンとの比較で語る
みなさんご存じマンハッタン。
5分でインストできて超絶殴り合いのできる40分程度のゲームです。殴りたければマンハッタン。ボードゲーム会の90分越えゲームの合間にさくっと殴り合うためのマンハッタンです。
それがね、インスト3分・プレイ時間20分で超絶殴り合えるゲームが登場してしまったら、その座が奪われてしまうじゃないですか。
もちろんマンハッタンは上に積んでいく楽しさ・エリアマジョリティの楽しさがある超名作ですが、やっぱり短いのは正義ですよね。しかもこのマンハッタン、数年前に出た新版の建物が黄色とオレンジで見分けがつきにくく、
「ちょっと色変えてほしかったよねー」とぼやきとともに遊ぶこと確定なわけです。建物の高さのぎりぎりを狙っているとき、「これは3?4?」と確認する手間が入ってきてしまうんです。名作を前にしてはちょっとした愚痴でしかないわけですが、やっぱり何のストレスもなく遊べるというのは正義だと思うのです。
さて、マンハッタンのもう一つのいいところは、長考しない仕組みです。超絶殴り合いで長考したくなるようなゲーム性であるにも関わらず、持っている手札に対応する場所にしか置けないという制限により、長考を防いでいる。これがさくさくと殴り合いを楽しめるポイントなわけです。
この点、タイガーアンドドラゴンも、自分の手番ですることはまず相手の攻め牌と同じ数字を出すかパスするかであり、攻めに転じた場合も残り数枚の牌から1枚出すだけなので殆ど長考しません。
いやあ、カタンに続き、マンハッタンの座も奪っていくのか・・・・恐ろしい子。
価格・リプレイ性ともにずばりドイツゲーム大賞的
さて、ここでちょっと値段の話をさせてください。
なんだよお金の話かよと思わずに、日本産ドイツゲーム大賞を予想する上でのポイントにもなる点なので、豆知識だと思っていただければ。
これは、ボードゲームを買って遊ぶ上ではあまり気にすることではないと思うのですが、ドイツゲーム大賞というのはおおむね4000円~6000円くらいのゲームが選ばれる傾向があるんですね。
というのも、ドイツゲーム大賞は、多くのドイツのご家庭にクリスマスに買って一年間遊んでもらうようなことを狙っている側面があり、いくら面白いからといって2000円くらいの小箱ボードゲームがその座をかっさらっていってしまうとその年のクリスマス商戦が悲しい感じになってしまうわけです。
2013年のHanabiは例外的な受賞だったか、あれで懲りたんだろうと個人的には思っていますが、さて、その点、このタイガー&ドラゴンは4000円なのでちょうどこのレンジに収まってくるわけですね。
そして、ご家庭で一年間遊ぶことを鑑みるとリプレイ性が大事なのですが、そこは1000回遊べるポテンシャルを自負しているとおり、十分にクリアできる気がします。
そもそも、ゲーム性からして2000年前後でドイツゲーム大賞をとっててもおかしくないっていうか、古き良きユーロゲーム感があるので、ドイツでもウケると思うんですよねえ。
どんなゲームがドイツゲーム大賞をとるのかというと、時代ごとの流行もあるところですが、ここ数年はライトに盛り上がれる感じのものを中心にバラエティ豊かに受賞してきているので、ここでちょっと古典的な作品に回帰してもいいタイミングだと思うんですよね。
と、いうわけで、これは日本初のドイツゲーム大賞受賞作品を狙えるポテンシャルは十二分にあると、夫婦満場一致で思っているわけです。
歴史的瞬間に立ち会っている気がしてとてもわくわくしますね。
大賞以外のユーロゲームとも比較してみる
ヨーロッパで愛されている伝説の作品ドメモとの比較で語る
1が1枚、2が2枚…という数字の構成で、思いつくものは何でしょうか。
そうです、言わずと知れた巨匠アレックス・ランドルフの名作ドメモですね。
いくら国内ではごいたリメイクと主張していても、海外に持っていったら、「あ、ドメモだ」という印象から入ることは間違いないだろうと思います。
ドメモの「読むのは数字よりも、相手の心です。」という背表紙のキャッチコピーそのままの面白さは、ここで今更語る必要はないと思います。
さて、そのドメモとのプレイ感の比較をしたいと思うのですが、これはもう「推理より殴り合いの方が楽しい」の一言に尽きます。
どちらも、「場に7が3枚出ていて、私が1枚持っている。さっきの表情からするともう7は持ってないんじゃないか…?」「いや、それよりも5で攻めた方がいいかもしれないな…」という数字の読み合いが発生するわけですが、同じ「5だ!」なら、「5をもっていますか?」より「5で攻める!」の方が宣言してて楽しいんですよ。
ドメモにしてもタイガー&ドラゴンにしても、伏せられているカード・牌があるので完全に手札をカウントすることはできず、攻め時には思い切りが大切なのですが、
ドメモが「………もしかして、3?」と静かに切り込むのに対して、「ここは3で行く!!」っていう方がね、思い切りがきいて楽しいんですよ。
疲れててカウンティングがうまく回らないときにドメモで遊ぶのは相手に申し訳ないわけですが、ちょっとばかしカウンティングがうまくいかなくても楽しく、しかも勝てる可能性が残されているのもいいところです。
一回、ぺーさんと二人で遊んでいたとき、ぺーさんが7を4枚持っていて、私がゼロ枚だったのが一手目でバレました。それで、開幕早々ぺーさんから7で4回連続で攻め込るパワームーブをされたんですが、ところがどっこいその後の展開で私が勝ったんですよね。
かといって勢いだけで勝てるゲームというわけではなく、熟練者の方が圧倒的に勝率は上がるのでやりこみたい気持ちも生まれる。これはなかなかにバランスのとれたゲームだなあと思います。
こんな感じで、我が家のドメモのポジションをあっさりとかっさらっていってしまいました。恐ろしい子。
バトルロワイヤルものの王宮のささやきとの比較で語る
10点先取のバトルロワイヤルと聞けば、真っ先に思い浮かぶのは王宮のささやきですね。
勝者だけが点数を持っていく10点先取ゲームの面白さというのは、各プレイヤーが何点とっているかでラウンド内での振る舞いが変わってくるところにあると思います。
つまり、全員0点である1ラウンド目は純粋な数字のやりとりなのですが、2ラウンド目からは、「さっき勝ったあいつに勝たせるわけにはいかない」という他のメンバーの思惑が働いてくるのです。この思惑により、純粋に数字だけみて戦略を決めることができなくなる。その場その場での臨機応変な戦略が楽しめるのです。
いやあ、王宮のささやきの、みんなで一致団結して一人を下ろしにいく雰囲気がね、大好きなんですよ。というかみんな好きですよね。人類は10点先取バトルロワイヤルを愛しているに違いない。
流石に王宮のささやきのあの陰湿さはこのゲームにはないわけですが、人類が愛してやまない10点先取バトルロワイヤル要素はしっかり共通しているので、それだけでも面白いこと間違いなしです。
インスト3分、プレイ時間20分という圧倒的なシンプルさを考えると、王宮のささやきよりタイガー&ドラゴンの方がボドゲ会で回しやすいんですよねえ。王宮のささやき、いざインストしようと思うと意外と手こずるといいますか、細かいルール再確認しないと不安になるので、今日は王宮のささやきやるぞって決めて復習してからじゃないとあすなんはインスト不安です。
っていうか、ここまで書いていて思うのですが、「○○ではなくタイガー&ドラゴンを遊びたいと思う理由を考えないといけない」的な話を、発売記念の動画で制作側が語っていたのですが、ここまでくるとむしろ〇〇の側に「タイガー&ドラゴンではなく〇〇を遊ぶ理由」の方が求められるようになってくる気がするんですよね。
あの独特の陰湿さを遊びたいときは王宮のささやきで、そうでなければタイガー&ドラゴンでいいんですよ。
なんだこれ、デフォルトで遊ばれるゲームの座をかっさらっていってるんじゃないの。恐ろしい子。
全人類に末永く愛される名作爆誕
いやあ、タイガー&ドラゴンがドイツゲーム大賞とったり日本人全員に遊ばれるようになったりした世界線のことをちょっと想像してみてくださいよ。
ボードゲームが趣味ですって会社の人に話をするときにさ、「ボードゲームっていうのはね、人生ゲームのことではなくてね、ドイツでは大人の間でも物凄く遊ばれていて何千種類とあってね……」という前口上なしにさ、「ほら、タイガー&ドラゴンってあるじゃん、あれが20〇年にドイツで大きな賞を取ってて、ドイツはボードゲーム大国なんだけど、他にもいろんな名作があるんだよ、一緒に遊んでみない?」って言える世界。
最近の芸能界でのボードゲームブームのおかげでずいぶん人口に膾炙してきて、そういう世界に近づいてきている気がするけれど、もしそんな世界が実現したらどうでしょう。私はそんな世界が見たい。
だからこのゲームをここまで推すのは、販売会社であるアークライトさんやオインクさんの回し者だというわけでもなんでもなく(というか先行販売も買い損ねている上に一般販売の予約再開までやきもきしていた一般人なんですが)、
今、まさに、歴史が作られようとしているのを、全身で痛感しているからなんですよね。
冒頭に語った通り、これは「ごいたが2~5人で遊べるようになったリメイク」って次元で語っていいゲームじゃないんです。30年後も50年後も末永く愛されて遊ばれるゲームが誕生したんです。徹夜マージャンではなく徹夜タイガー&ドラゴンの時代が来ます。
ゲームの面白さや流行可能性はもう、この記事通して語ったとおりなので、あとは、「えー、でもごいたなんでしょう?」という傍観によってボードゲーマーがスタートの売り上げをくじきさえしなければ、あとコロナによる工場への影響とかでアークライトさん・オインクさんが増産判断に尻込みしなければ、大流行してドンキやヨドバシに20個くらい並んでる世界は見えたも同然なので、
ご家庭に一つ、タイガー&ドラゴンを。みんなでボードゲーム大国日本を実現しましょう。
ボドゲラジオのゆるゆるボードゲーム語りでも、ゲームの遊び方を踏まえて夫婦二人で35分熱く語り合っているので、よければ聞いていってください。
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